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ジーソミアとは?GSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)をわかりやすく説明!
ジーソミアとは、軍事情報包括保護協定(General Security of Military Information Agreement)の略称です。
同盟ないし親しい関係にある2カ国もしくは、複数国間で秘密軍事情報を提供し合う際、第三国への漏洩を防ぐ為に結ぶ協定を指します。
2019年8月現在、日本はアメリカ合衆国やNATOなど7カ国と協定を締結しています。
秘密軍事情報には、軍事技術、暗号情報、戦術データ、高度システム統合技術、装備品、秘密情報活動により得た情報、非公式なメモなど、さまざまな情報が対象となります。政府以外に、これにかかわる民間企業も対象となります。
つまり、軍事活動に関するあらゆる情報を共有する為の環境を整える為の協定で、それぞれの国が持つ設備や諜報機関が収集したデータを決まった手続きで共有し、その秘密保持の義務や責任まで規定しています。
日本のジーソミア(GSOMIA)協定国一覧
- アメリカ合衆国 2007年8月10日 – 日本とアメリカがGSOMIAに署名
- NATO 「日・NATO情報保護協定」 2010年6月25日署名
- フランス 「日仏情報保護協定」 2011年10月24日署名
- オーストラリア 「日豪情報保護協定」 2012年5月17日署名
- インド 「日印秘密軍事情報保護協定」 2015年12月12日署名
- 大韓民国 日韓秘密軍事情報保護協定 2016年11月23日署名。1年毎に自動更新されることとなっており、協定破棄には更新3ヶ月前の通告が必要となる。2019年8月22日、韓国が日韓GSOMIAを延長せず終了すると発表
日韓ジーソミア(GSOMIA)のメリットは?
日韓のGSOMIAのメリットは、対北朝鮮軍事情報の共有につきます。
韓国のメリット
韓国は自前の偵察衛星を所有していません。その為、大気圏から北朝鮮の軍事施設をリアルタイムで監視したり、北朝鮮から発射されたミサイルの弾道を正確に追尾する事が難しく、常に誤差が発生します。
多くの場合、ミサイル発射時点で発表した情報を、日本からの追跡情報で修正しており、正確な北朝鮮の軍事行動を把握する上で、有効なデータを得る事ができます。
日本のメリット
北朝鮮脱北者や、諜報活動を通して北朝鮮の隣国である韓国から得られる情報は、レーダーや偵察衛星によって得られる情報よりも、長期的な戦略を練る上で重要です。
軍事行動も、しょせんは人が起こしているので、外から観察できる事よりも、内から漏れ出てくる情報の価値というのは、いくら電子戦の時代になったと言っても変わりません。
なぜ韓国はジーソミア(GSOMIA)を破棄したのか?理由は?
現政権の文大統領は、左派政治家として盧武鉉前大統領を補佐していた時から有名な活動家でした。
文大統領の持論として、祖国統一の為には日米の軍事活動は、障害になるものと考えていて、米韓共同軍事演習についても北朝鮮に配慮して名前を柔らかいものに変えて米韓連合指揮所訓練に変更しています。
もし、文政権下で自由意志で軍事政策を決定できるのであれば、国境付近に配備している米国製ミサイル防衛システムも米韓共同軍事演習もやらずに、経済制裁を解いて開城工業団地などの北朝鮮と合同の経済活動を再開したいと考えています。背後にあるのは南北共に同じ民族なので、最終的に戦争にはならないという盲信です。
たびたび、韓国が国際連盟の決議に反して、セドリを使って北朝鮮へ物資援助をしているのではないかと疑われているのも、このあからさまな親北的な態度によるものです。
その為、ある意味GSOMIAを日本と破棄する口実を得た事は、渡りに船だったと言えるでしょう。
そして、忘れてはならないのは、「反日は政権の支持を維持するのに便利な切り札である」という事です。
韓国で反日は義務教育時から刷り込まれた思想なので、国家統合の象徴を持たない韓国にとって、反日こそが民族統合の象徴と言えます。
つまり、論ではなく感情で国民が一つになれるキーワードなのです。そして、反日を推進した政権は人気が回復します。
余りにも経済の仕組みを無視した、国家の財政出動頼りの福祉政策・国民の借金救済政策・時給の引き上げ・財閥敵視政策は、殆どが思想的な義務を財政に優先させた結果で、数々の副作用を引き起こして、失業率を上げ、低所得者の生活を逼迫させています。
ものすごい勢いで悪化する国家財政は、いつまで決めた政策を継続できるかでチキンレースになっています。
こうした経済失策を糊塗するのに「反日」は特効薬として韓国では機能します。実際にほとんど無秩序な反日政策を打ちまくった結果、文政権の支持率は回復しています。
しかし、日々進行する国家財政と経済の悪化は、「反日」では止まらないので、いつの日か大きな代償を支払う事になります。それは、そう遠くない未来と言えます。
韓国のジーソミア(GSOMIA)破棄に対する反応は?
日本の反応
国防の責任を追う防衛省からは「正気の沙汰とは思えない」というコメントが出ています。
そもそもが日本の貿易管理強化として行った「韓国のホワイト国除外」は、必要な書類を揃えて使途不明になっているフッ化水素などの管理状況を明らかにすれば済む話です。
しかし、日本の再三の問い合わせを無視し、ホワイト国としての扱いを維持するのに必要な「戦略物資会議」などの実務会議を一方的に無視しています。通常は2年に1度開催される同会議が、2016年以降は一度も開かれていません。これは、文政権の誕生と時期的に合致します。
こうした貿易上の手続きを巡る問題と国防の問題を同じ遡上で扱う事は、常識外と言える事です。
官僚や政治家からは、「大した影響が無い」と評価されています。そもそも、「レザー照射問題」あたりから日韓の連携には不信感が芽生えていて、韓国から渡されるデータが恣意的な隠匿やミスリードを行っていない保証がありません。計測機器による客観的なデータは、レーダー網や観測機器の性能の違いから、日本のほうが精度で優れており、諜報活動による韓国からのデータの提供があてにならないのであれば、提供を受けなくても問題が無いとも言えます。
韓国の反応
GSOMIAの内容を良く知らない国民からは、「良くやった」などの脊髄反射なコメントで埋め尽くされていますが、状況分析のできる国民からは文政権に対する非難の声が巻き起こっています。
自国の国民の生命と財産を守る為の多国間協定を、貿易紛争の取引材料にする事に対しては、「余りにも次元が違う話をごっちゃにしている」と暴走という表現を使う人も出てきています。
まず、GSOMIA破棄で一番悪い影響を受けるのは、韓国自身だという事です。
日本の偵察衛星・光学2基・レーダー4基がカバーする北朝鮮の軍事情報や、発射されたミサイルの弾道を、自前の偵察衛星を持たない韓国は知る手段が無くなります。
アメリカから情報提供を受ければ良いという話もありますが、「北朝鮮の監視」に特化された日本の偵察衛星と比べれば、得られる情報の質と精度に差があります。
アメリカなど海外の反応
アメリカは太平洋を挟んで反対側から大陸間弾道弾で飛んでくるかも知れない脅威に対する防波堤として、日本と韓国から得られるデータを使用しています。
北朝鮮に近い両国は、それだけで情報収集基地・軍事行動の初動展開拠点として重要です。その為、GSOMIAで日米韓が円滑に情報共有する事は、とても大事な事であると考えています。
その為、アメリカのポンペオ国務長官は、「韓国がGSOMIAの破棄を決定した事に、懸念と失望」の声明を出しています。
日韓の確執に詳しくないヨーロッパや北米では、「韓国の行動自体がワケがわからない」と当惑しています。
多くの戦争を経験している、これらの国々では国防と反日をごっちゃにする思考自体が理解できないのです。
ジーソミア(GSOMIA)破棄で今後はどうなる?
韓国はとても厳しい立場を自ら選択したと言えます。
韓国の行動は、「振り上げた拳を下ろせなくなった」結果として、一貫性も論理も欠いていて国際社会の理解を得ていません。韓国がこうした行動を取る裏には、表面上の反日の下に、文政権が思想的に第一義に考えている「民族統一」の甘い夢があります。
つまり、同じ民族の北朝鮮に対して敵対行動を取る必要は無いという期待だけに裏付けされた信念があるのです。
アメリカから見ると、余りにも親北的な文政権下の韓国は、多大なコストをかけてまで同盟を維持する必要があるのか再考する機会になります。
アメリカとの同盟関係は、対北朝鮮という共通認識で維持されているので、その前提が崩れれば、同盟だけが都合よく維持される理由がありません。米大統領補佐官のボルトン氏が韓国を訪問して、韓国の対日仲裁要求を無視して、在韓米軍の費用負担を5倍に引き上げたのは、最初の兆候とも言えます。
アメリカは韓国を最終的に見放すにしても、なるべく資金回収をして、中国なり北朝鮮なりロシアなりに高値で売りつけるでしょう。
あくまでも戦略で結びついている国家間の関係が、共通の認識を失った後も変わることが無い保証なぞ無いのです。
まとめ
国家間の約束に二言があっては、世界は成り立たなくなってしまいます。日韓の関係のこじれも、何度も確認した国家間の約束を韓国側が一方的な解釈で破棄した結果です。
ウィーン条約によって、国家は自国の国内法を根拠にして、国家間の条約から発生する義務と責任を逃れる事ができないとされています。これが許されると、条約など破り放題になってしまうからです。その為、自国の立法府の判決を根拠に損害賠償手続きを進める韓国は出発点が間違っています。
良く戦後処理の比較対象として韓国が持ち出すドイツですが、第一次世界大戦のベルサイユ条約で決められた天文学的な賠償金を、92年かけて完済しています。
ドイツの課せられた暴力的な賠償金は、当時新進気鋭の経済学者だったイギリスのケインズをして、「国家の生存権を奪う犯罪的な暴挙」と言わしめた程の巨額でした。
しかし、飲むしかなかったドイツは講和に同意したのです。そして、第二次大戦を挟んで完済しています。
もちろん、ドイツにも不満や言いたい事は大いにあったでしょう。しかし、国家が条約にサインした以上、義務と責任は果たさねばならないのです。
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