スマートフォンが普及してきてしばらく経ちますが、よく考えると私がスマホを持ってから本屋さんに訪れる頻度が減少しました。
今回は、そんな本を実売する書店チェーン「文教堂」についての話題です。
文教堂グループホールディングスが事業再生ADRを申請
報道によると、書店チェーンの文教堂グループホールディングスが6月28日に事業再生ADRの利用を申請し、受理されたと発表しました。
今回の措置を行った理由として「ネット通販やデジタルコンテンツの普及により書籍の市場規模は縮小傾向が続いていたため」と述べられています。
文教堂も資金繰りのために増資を行い大日本印刷株式会社(DNP)の子会社になるなど対策を講じていましたが抜本的解決にはならなかったようです。
書店チェーン大手・文教堂 事業再生ADR利用を申請 https://t.co/wpPcVq8bNc 「2013年8月期以降は、17年8月期を除いて赤字が続き、18年8月期には約2億3千万円の債務超過に陥った。その結果、東京証券取引所から上場廃止に関わる猶予期間入りの指定を受けていた」
— 神奈川新聞 経済部 (@keizai_kanagawa) June 28, 2019
文教堂の会社概要
社名 : 株式会社文教堂グループホールディングス
本社所在地 : 神奈川県川崎市高津区久本3丁目3番17号
設立年月日 : 昭和24年12月1日(創業明治31年)
資本金 : 20億3,553万円(2018年8月31日現在)
年商 : 273億8,826万円(2018年8月期:連結)
事業内容 : 書籍、雑誌、CD、DVD、文具、ゲーム、ホビー商品等の販売及び、レンタルビデオ等の総合ソフトメディアショップのチェーン展開
従業員数 268名
店舗数 161店舗
(以上文教堂HPより抜粋)
文教堂は、1898年に創業され120年を超える老舗です。
最近の書籍のデジタル化の波に押され、2018年8月期の売上高は前年同期比8.5%減の273億円、営業利益は約5億円の赤字となり、債務超過の状態になっていました。
事業再生ADRとは?
通常、会社の経営が行き詰まった場合
① 会社更生法
② 民事再生法
③ 破産法
いずれかの法の適用を受け、裁判所の法的な手続きによる紛争解決の手続きを経て、再生するなり清算するなりします。
事業再生ADRは以上のいずれの手続きを踏まず、債権者・債務者当事者間の話し合いで事業再生を目指すという方式です。
なお、ADRとは裁判外紛争解決手続(Alternative Dispute Resolution)の略となります。
文教堂の上場廃止・倒産・破産の可能性は?
この決定は決まるまでは、2019年8月末までに債務超過が解消されなければ原則として文教堂は上場廃止となる予定でした。
しかし、今回の決定を受け当事者間の話し合いの上、再生計画が決定すれば上場廃止の期間が1年猶予されるようです。
さて、これからの行く末なのですが、いくら債務を調整し超過を解消したとしても問題なのは売上の減少です。
この問題の解決策がない限り同じことの繰り返しの上、倒産・破産の道も見えてくるのではないでしょうか?
まとめ
今回の件で思うことは、企業というのは長く続くと変わっていくのが難しいんだなということです。
書籍のデジタル化が進み実売書店の売上が減少傾向になるということは、予想されたことだと思います。
「家にいても本が買える」という付加価値に勝とうと思えば、店に来てもらう為、相当の魅力を持たす必要があると思います。
今回の件は、その企業努力を怠った結果と感じます。
最近の話題になる実売の書店は、ただ本を売るだけではなく、顧客の趣味にあった本を見繕ってくれるサービスやジャンルに特化した書籍を集め交流の場も兼ねるなど「行ってみたいな」という魅力をもたせています。
結局、実売の業態に固執するのであれば「やっぱり紙の本がいい」と言う顧客に対してどのような満足を与え、購買を促進していくしか解決策はないと思います。
今回も記事をお読み頂きありがとうございました。