6月27日にJDI(ジャパンディスプレイ)についての最新情報が報道されました。
ここでは、JDI問題の概要・最新情報・今後のゆくえについて書いていこうと思います。
目次
JDI(ジャパンディスプレイ)問題の概要
JDI(ジャパンディスプレイ)とはどんな会社?
JDI(ジャパンディスプレイ)は液晶ディスプレイ(LCD)の大手メーカーの一つです。スマホ用・車載用(カーナビ等)の小型ディスプレイが主力製品でスマホの液晶画面において特許を持ち、従来の方式より薄くて明るい製品が作れることからアップル社のiPhone5以降の高級スマホで採用されていました。
JDI(ジャパンディスプレイ)問題とは?
JDI(ジャパンディスプレイ)は韓国・台湾との液晶ディスプレイの価格競争で苦境に陥った日本メーカーの液晶部門を産業革新機構の主導により統合し、その事業を利益が見込めるスマホ・車載用の小型ディスプレイに集約され再編された会社です。
統合直後は、業績もよく「官製再編」の成功例ともてはやされ、2015年からシャープが苦境に陥った際にもその液晶部門の買収をめぐって台湾メーカー鴻海と攻防を繰り広げていました。(結果は鴻海に軍配が上がる。)
上昇気流も長くは続かず、有機ELディスプレイの販売を拡大する韓国勢や、液晶ディスプレイの技術を向上させる中台勢に押されて次第に苦境となっていきます。また売上のアップル社依存率が高いこともあり、iPhoneという一つのスマホの売れ行きとアップル社の意向に左右される不安定な経営を強いられます。その上有機ELディスプレイのトレンドを無視し、液晶の高性能化に投資を続けますが、アップル社が2017年に発売したスマートフォンiPhone X以降の高級スマホでは競合他社の有機ELパネルが採用されるという憂き目になり、業績が落ち込むのです。
その苦境を脱するため2019年に支援先を産業革新機構から中台企業連合に変更しようと模索中です。また国内社員の4分の1強に当たる1200人の希望退職者募集に踏み切るなどの対策も行っています。
JDI(ジャパンディスプレイ)問題の最新情報
6月27日の報道では、経営再建中のJDI(ジャパンディスプレイ)に対して同社の売上の6割を占めるアップル社が1億ドル(約107億円)の出資を行う方向であるとのことです。JDI(ジャパンディスプレイ)はすでにアップルから1000億円の借り入れがありますが、この返済も返済額を半減した上、返済期間も先延ばしすることで合意しています。
アップル社としても重要な取引先であるJDI(ジャパンディスプレイ)のピンチは見過ごせなかったようで、大規模な支援に踏み込んだようです。
JDI(ジャパンディスプレイ)問題の今後の行方
今回のアップル社の支援は、JDI(ジャパンディスプレイ)にとっては追い風になることは間違いありません。
しかし、いくら資金援助されても、リストラをしても、根本原因は改善されていません。その根本原因は、「買ってもらえる製品」を作れるかどうかです。これは製造メーカーの原点であり、それが出来ないならば市場に淘汰(倒産)されてしまいます。「買ってもらえる製品」は、「他より安い」か「他にはない付加価値がある」のどちらかです。
かつての日本メーカーは、他の国が真似できない技術で競争に勝ってきました。これからの国際社会を生き抜くには「他にはない付加価値がある」製品を作るために必要な投資を国を挙げて行うべきではないでしょうか?
今回も記事をお読み頂きありがとうございました。