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闇部活とは?ブラック部活や部活顧問のおかしいパワハラなど問題点も調査!

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全国高校野球選手権岩手大会の決勝で、大船渡高校の佐々木朗希投手が監督の指示により登板しませんでした。

準決勝の試合で、129球を投げている事を考慮し、本人の負担を軽減する為の処置でした。

これについて、「英断である」と評価する意見と、「エースは投げ切ってこそ。登板するべきだった」と批判する意見が出ています。

特に「サンデーモーニング」(TBS系)で、「ご意見番」として出演した元プロ野球選手・張本勲さんが、「登板させなきゃだめだよ」と監督を批判した事について、ダルビッシュ選手やサッカーの長友佑都選手から、「選手ファーストで考えるべき。無理をして怪我をしたら、元も子もない」と、監督を支持する意見が出ています。

チームの為に無理をしてでも頑張るべきなのか、スポーツ理論に基づいて本人を怪我から守り、その結果として敗北しても受け入れるべきなのか?
今、ちょっとした論争になっています。

闇部活とは?

本来、部活とは自由意志により、自分の可能性を伸ばす課外活動です。

結果として、大会で賞を取ったり、表彰されたりという事があっても、それが目標ではありません。

しかし、大会での賞や成果が、学校の名誉や部の評価に直結する風潮が強くなり、勝ち負けや結果に拘る余り、ミスをした部員や敗退した部員に対して、暴言を浴びせる・何日も無視する等の顧問からのハランスメントが深刻化しています。

そして何よりも、大会で勝つ為に色々な看板の付け替えで、実質的な部活動を表向きの部活動外時間に行って拘束時間を伸ばす「闇部活」が横行しています。

健全な心と身体や、自主性等を育む場であるはずの部活で、生徒が追い詰められ、逃げ場を失う事態にもなっています。

部活動の国のガイドライン

部活動の過熱が問題視されるなか、2018年3月にスポーツ庁が運動部のガイドラインを、12月に文化庁が文化部のガイドラインを策定しました。

このガイドラインで注目するべきは、大会や競技会を理由に、なかなか改まらない過度な練習や、長時間に渡る生徒の拘束について、具体的な基準を設定している事です。

この国のガイドラインを基に、各都道府県で指導要綱が設けられていますが、かなり緩めに設定されている事が多いのが現実です。

また、公然とガイドラインを無視する風潮も、まだ多分に残っています。

以下に、実際のガイドラインから、該当箇所を抜粋したものを掲載しますが、体罰・ハランスメント・適切な休憩の義務付けなど、かなり踏み込んで指摘しています。

部活動の目的として、生徒の人格の育成や心身の成長を促す事を挙げており、決して学校の名誉や、大会での受賞を目的としていない事も明記してあります。

運動部のガイドライン

生徒にとってのスポーツの意義

スポーツは、スポーツ基本法に掲げられているとおり、世界共通の人類の文化であり、人々が生涯にわたり心身ともに健康で文化的な生活を営むうえで不可欠なものとなっています。

特に、心身の成長の過程にある中学校、高等学校の生徒にとって、体力を向上させるとともに、他者を尊重し他者と協同する精神、公正さと規律を尊ぶ態度や克己心を培い、実践的な思考力や判断力を育むなど、人格の形成に大きな影響を及ぼすものであり、生涯にわたる健全な心と身体を培い、豊かな人間性を育む基礎となるものです。

運動部活動において生徒がスポーツに親しむことは、学校での授業等での取組、地域や家庭での取組とあいまって、スポーツ基本法の基本理念を実現するものとなります。

動部活動は学校教育の一環として行われるもの

  • スポーツの楽しさや喜びを味わい、生涯にわたって豊かなスポーツライフを継続する資質や能力を育てる。
  • 体力の向上や健康の増進につながる。
  • 保健体育科等の教育課程内の指導で身に付けたものを発展、充実させたり、活用させたりするとともに、運動部活動の成果を学校の教育活動全体で生かす機会となる。
  • 自主性、協調性、責任感、連帯感などを育成する。
  • 自己の力の確認、努力による達成感、充実感をもたらす。
  • 互いに競い、励まし、協力する中で友情を深めるとともに、学級や学年を離れて仲間や指導者と密接に触れ合うことにより学級内とは異なる人間関係の形成につながる。

継続的にスポーツを行う上で、勝利を目指すこと、今以上の技能の水準や記録に挑戦することは自然なことであり、それを学校が支援すること自体が問題とされるものではありませんが、大会等で勝つことのみを重視し過重な練習を強いることなどがないようにすること、健全な心と身体を培い、豊かな人間性を育むためのバランスのとれた運営と指導が求められます。

肉体的、精神的な負荷や厳しい指導と体罰等の許されない指導とをしっかり区別しましょう

動部活動での指導では、学校、指導者、生徒、保護者の間での十分な説明と相互の理解の下で、生徒の年齢、健康状態、心身の発達状況、技能の習熟度、活動を行う場所的、時間的環境、安全確保、気象状況等を総合的に考えた科学的、合理的な内容、方法により行われることが必要です。

校教育の一環として行われる運動部活動では、指導と称して殴る・蹴ること等はもちろん、懲戒として体罰が禁止されていることは当然です。

また、指導に当たっては、生徒の人間性や人格の尊厳を損ねたり否定するような発言や行為は許されません。

体罰等は、直接受けた生徒のみならず、その場に居合わせて目撃した生徒の後々の人生まで、肉体的、精神的に悪い影響を及ぼすことになります。

適切な休養日等の設定

運動部活動における休養日及び活動時間については、成長期にある生徒が、運動、食事、休養及び睡眠のバランスのとれた生活を送ることができるよう、スポーツ医・科学の観点からのジュニア期におけるスポーツ活動時間に関する研究も踏まえ、以下を基準とする。

  • 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。)
  • 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、運動部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
  • 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。

スポーツ庁 運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインより抜粋

文化部のガイドライン

望ましい部活動の在り方

生徒にとって望ましい部活動の実施環境を構築するという観点に立ち、文化部活動が以下の点を重視して、地域、学校、分野、活動目的等に応じた多様な形で最適に実施されることを目指す。

  • 知・徳・体のバランスのとれた「生きる力」を育む、「日本型学校教育」の意義を踏まえ、生涯にわたって学び、芸術文化等の活動に親しみ、多様な表現や鑑賞の活動を通して、豊かな心や創造性の涵養を目指した教育の充実に努めるとともに、バランスの取れた心身の成長と学校生活を送ることができるようにすること。
  • 生徒の自主的、自発的な参加により行われ、学校教育の一環として教育課程との関連を図り、合理的でかつ効率的・効果的に取り組むこととし、各学校においては、生徒の自主性・自発性を尊重し、部活動への参加を義務づけたり、活動を強制したりすることがないよう、留意すること。
  • 学校全体として文化部活動を含む部活動の指導・運営に係る体制を構築すること。
  • 文化部活動の多様性に留意し、可能な限り、生徒の多様なニーズに応じた活動が行われるよう、実施形態などの工夫を図ること。

合理的でかつ効率的・効果的な活動の推進のための取組

校長及び文化部活動の指導者は、文化部活動の実施に当たっては、生徒の心身の健康管理(障害・外傷の予防やバランスのとれた学校生活への配慮等を含む)、事故防止(活動場所における施設・設備の点検や活動における安全対策等)及び体罰・ハラスメントの根絶を徹底する。都道府県及び学校の設置者は、学校におけるこれらの取組が徹底されるよう、適宜、支援及び指導・是正を行う。

適切な休養日等の設定

文化部活動における休養日及び活動時間については、成長期にある生徒が教育課程内の活動、部活動、学校外の活動、その他の食事、休養及び睡眠等の生活時間のバランスのとれた生活を送ることができるよう、以下を基準とする。

  • 学期中は、週当たり2日以上の休養日を設ける。(平日は少なくとも1日、土曜日及び日曜日(以下「週末」という。)は少なくとも1日以上を休養日とする。週末に大会参加等で活動した場合は、休養日を他の日に振り替える。)
  • 長期休業中の休養日の設定は、学期中に準じた扱いを行う。また、生徒が十分な休養を取ることができるとともに、文化部活動以外にも多様な活動を行うことができるよう、ある程度長期の休養期間(オフシーズン)を設ける。
  • 1日の活動時間は、長くとも平日では2時間程度、学校の休業日(学期中の週末を含む)は3時間程度とし、できるだけ短時間に、合理的でかつ効率的・効果的な活動を行う。

文化庁 文化部活動の在り方に関する総合的なガイドラインより抜粋

ブラック部活や部活顧問のパワハラなど部活動の問題点

指導者の認識不足や、技術的知識の欠如により、おうおうにして間違った指導がなされる事が報告されています。

個々の体力を無視した、精神論的な指導や、指導者個人の思い込みによる鍛錬の強制などが、問題の根幹にあります。

また、部活動の目的として、大会での優勝や、学校の名誉・実績など、周りと競い勝つ事の比重が高くなる傾向にあり、貢献できなかった生徒に対して非難が及びます。

体罰については、一時期、社会問題になったので、最近はなりを潜めていますが、代わりに表面化したのが、被害の跡が表面的に残らない、暴言・無視などのハランスメントです。

基準が示されている休養についても、準備・後片付けの時間を練習時間に含めないなど、大会に向けた勝利の為に、さまざまな方法で、部活動と見なされない実質的な部活動(闇部活)が行われています。

国のガイドラインと示し合わせると、明らかに方向性を間違えていますが、部活動の実績が、学校の評価や指導者の評価に結びつきやすい傾向があるので、改善されずに放置されているのが実態です。

まとめ

少し前に、組体操で、人間の塔が何段まで組めるかという事を、学校対抗で競った末に、重量に耐えかねて崩れて、重篤な怪我人が出る事故がありました。

その時に学校の指導者は、学校の名誉と伝統の為に「危険でも続ける事には意義がある」と言って、はばかりませんでした。

体操部でも無い、一般生徒も巻き込んで、危険が伴う組体操を行う事には、保護者からも批判も出ていましたが、それでも何十年も積み重ねてきた歴史が止めさせられないのです。

人間の塔で記録を作る事が、どれだけ生徒の人格形成に貢献するか、客観的に評価した事は無いのだと思います。

「こういう事は、理屈じゃない」という意見もあるでしょうが、それで一生残るような怪我をしたら、誰が保証してくれるのでしょう。

本当にそれに見合う事でしょうか?

部活が何の為にあるのか、よく考える必要があると思います。

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