先天的なメラニン色素の欠乏により、体毛や皮膚が白く、瞳孔が毛細血管の透過により赤色に見えるアルビノ個体。
動物だけではなく、人間にも、劣性遺伝や突然変異で、一定の確率で発生します。
目立つ外見と、滅多に発生しない事から、アフリカなど呪術師が部落の実権を握る地域では、神聖化されたり、逆に呪術の道具として迷信の犠牲になったり、アルビノである事を原因とした事件が起きています。
日本でも、白蛇の皮で作った財布は、縁起が良い、富の象徴として、有り難がる風潮があります。
希少である事が、何らかの特別な力と結びついているという発想は、地域を問わずにあるようです。
しかし、このアルビノは、外見以上に本人にとっては、多くの点で生命を維持するのに、医学的な不利があります。
偏見や差別の対象になりやすい、アルビノについて、調べてみました。
アルビノとは簡単に解説
先天的なメラニンの欠乏により体毛や皮膚は白く、瞳孔は毛細血管の透過により赤色を呈する。劣性遺伝や突然変異によって発現する。広く動物全般に見られ、シロウサギやシロヘビが有名である。ほとんどの場合、視覚的な障害を伴い、日光(特に紫外線)による皮膚の損傷や皮膚がんのリスクが非常に高い。また外部から発見されやすく自然界での生存は極めてまれである。そのため、しばしば神聖なものやあるいは逆に凶兆とされ、信仰の対象として畏れられる。また、観賞用としても人気がある。なおアルビノは、正常な遺伝情報により白化した白変種とは異なる。 |
人種的に白人は、もともとメラニン色素が少ないので、強い日光の照射の元では、眼が光の調整ができず、サングラスを着用します。それと、同じ事が、メラニン色素の欠乏、もしくは、体内で作り出す事ができない為に、常時起きるのがアルビノです。
特徴的な赤い瞳は、色素によって、眼球が守られずに、毛細血管が外から見えている為に赤く見えます。常に光によって、眼球が刺激に晒されている事になるので、傷つきやすく、弱視の人が多いです。かなり高い確率で、近視・乱視・斜視などの症状があり、水平眼振という眼球が揺れてしまう症状に悪化する人もいます。
外見的には、色素が薄いので、肌が透き通るように白くなり、静脈や動脈が皮膚を通して、はっきり確認できたりします。また、髪の毛の色素も抜ける為、見た目は金髪に見えます。
メラニン色素は、紫外線を浴びると作られる活性酸素を取り除く役割もあります。肌を紫外線から守る役割も果たしているので、極端に少ないと、ガン細胞を作りやすくなります。
また、出血しやすい、免疫不全などの傾向も強くなります。
アルビノの先天性と後天性
医学的には、アルビノという言葉自体に「メラニンに係る遺伝情報の欠損により白化した個体」という定義を含むので、後天性のアルビノというのは、存在しません。
劣性遺伝によらない色素の減少は、白変種といいます。
白変種も遺伝子による情報によって起きるものですが、脊椎動物全般に渡って広く見られる事から、白変種の情報は、生物として正常かつ基本的な遺伝子情報と認識されています。
なぜ白変種が生まれるのか、解明はされていませんが、氷河期と間氷期を生物が生き抜く為の遺伝子的な知恵なのではないかと言われています。
アルビノとの違いは、メラニン色素を製造する能力は衰えていないので、瞳が赤く無い点です。
あくまでも、外見的に白いという見た目に留まります。
アルビノの日本人の確率や寿命
統計的には、日本人の場合、2万人に一人と言われています。日本人の人口を、1億2000千万人とすると、6000人の日本人のアルビノの方がいる事になります。
日本人と前置きした事で判るように、アルビノの発生確率は、人種によって大きく違います。
傾向として、黒人に多く、白人に少ないようです。
タンザニアでは、2000人に一人。ロシアでは、10万人に一人の確率だそうです。
アルビノ狩りとは
多数の少数部族が混在しているアフリカなどでは、未だに呪術師と言われる人達が、地域で指導者的な役割を担っている事が多いです。
アルビノは、個体数が少ない上に、突然誕生するので、個体の存在自体に呪術的な意味を付け加えてしまう事が多いです。
その為、その特別な力を手に入れようと、墓が暴かれたり、殺されたり、誘拐されたりという事件が絶えません。
アルビノの子どもを強姦すると、エイズが治ると信じられている地域もあります。
また、逆に御神体として、信仰の対象として祭り上げられる事もあり、いずれにしてもアルビノと迷信は、現代でも深刻な人権侵害を引き起こしています。
まとめ
アルビノを語る時、特徴的な外見に注目される事が多いですが、本人にとっては、メラニン色素の慢性的な欠乏が原因の疾患と共に生きる深刻な問題です。
程度も様々なので、外見的な特徴を除けば、普通に生活できる人もいますが、日光を避けて生活しないと、体調を崩す人もいます。
日光を避ける生活自体が、精神にも影響を及ぼす事もあり、一生付き合う事が運命づけられていると言えます。
本人の意思で、どうにかなるものでもない、程度によっては、大変辛い症状なのだという事を、周りも理解する必要があります。