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横浜のドン(ハマのドン)藤木氏とは誰?カジノ反対で林文子市長と対立?

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横浜のドン(ハマのドン)と呼ばれている横浜の名士であり地元有数の実業家でもある藤木氏が、横浜へのIR誘致を巡って横浜市長の林文子氏と対立を深めています。問題の争点になっているのは、カジノ施設を横浜港のハーバーリゾート構想に含めるかどうかと、開発地域をどこに定めるかという問題です。

開発地域とされている山下ふ頭付近は、市と国が98%を所有していますが、横浜開港の頃から港湾荷役用の倉庫が立ち並ぶ歴史ある場所でもあります。IR誘致が引き起こした横浜の問題に注目してみました。

横浜のドン(ハマのドン)藤木氏とは誰?

藤木幸夫氏(ふじき ゆきお、1930年8月18日- )は、横浜湾岸を中心に複数の事業を展開する地元有数の実業家です。

  • 藤木企業代表取締役会長
  • 横浜港運協会会長
  • 横浜エフエム放送代表取締役社長
  • 株式会社横浜スタジアム取締役会長

中核の藤木企業は港湾の荷役や倉庫事業を請け負う事業所で、歴史は120年を越えて横浜港の歴史と共にあります。創業当時、横浜は縄張り意識が強く、近代化もされていなかった荷役労働者の中で、別け隔てなく仕事を受けた事で運を掴み、他所では真似のできない効率的で早い荷役作業で周囲に一目置かれるようになります。

もともと横浜という土地は、荷役作業者をまとめるという意味で親方・子分といった関係が自然に築かれていて、よそ者の博徒が賭場からテラ銭を取らないように風紀を引き締める意味で親方が敢えて博徒になる事も多かったようです。

現在は堅気の会社も、元をただせば「~一家」というような博徒集団であったのが、京浜地区の特長です。そして、藤木企業も創業以来の歴史から、そういう時期を過ごして現在があるので、現在の会長である藤木氏は「横浜のドン」と言われています。

横浜のドン(ハマのドン)藤木氏・カジノ反対で林文子市長と対立?

IR誘致は2年前の横浜市長選挙の争点の一つでありましたが、現職の林文子市長が白紙に戻すという約束で封じ込めてきた経緯があります。現在、誘致を進める場所として検討されているのが山下公園に隣接する横浜港・山下ふ頭の倉庫群のある場所で、当然ながら現在事業を展開している業者に立ち退いてもらわなければなりません。

横浜は、東京・お台場と並んで観光客が多く、空港・港・公共機関・高速道路とインフラも整っているので、立地としては最高の場所の一つです。しかも、菅官房長官のお膝元であり、当初はスンナリと決まると考えられていました。そこまでは、藤木氏もIR賛成派であったくらいです。

しかし、場所を巡って荷役業者の立ち退きが必要な事が判ると、対立が始まり藤木氏は徹底抗戦の構えを見せています。その一方で、昨年IR実施法が成立し、大阪府と大阪市、和歌山県、長崎県が誘致を表明している中、来年にも国内初のIR開業地が決定する流れで期限に猶予はありません。

施設の建設場所の問題が解決しないままに、見切り発車する形で「白紙封印」から、一気にIR誘致に舵を切った形で、これにより対立は激化しています。既に来月の市議会で、IR誘致に向けた補正予算案の提出も決定しており、市政の流れ的にはIR誘致は決定事項になりつつあります。

IR誘致とは?

そもそもIRとは何でしょうか?

Integrated Resortの頭文字の略で、統合型リゾートとも呼ばれています。

カジノばかりがクローズアップされていますが、カジノが遊興施設である以上、ホテルや劇場・国際展示場・ショッピングモールなど集客したお客を目標にした施設を展開する事が可能です。こうした複合的な地域開発をIRと呼びます。

日本では賭博事業は公共の遊興施設として厳しく管理しているので、こういう大規模なギャンブルを中心に据えた地域開発は行われてきませんでしたが、ラスベガスやマカオ、シンガポールのような成功例や大規模な雇用の創出、1兆円と試算されている経済効果を期待して、カジノの解禁を柱とした「IR推進法案」が2016年に成立・2018年4月には「IR実施法案」が閣議決定しています。

現在は最初の開発事例となる開発地域を巡って、各自治体から候補に名乗りを上げている状態で、大阪と横浜が最有力候補と言われています。

林文子横浜市長がIR誘致を表明・経緯と問題点

林文子市長

横浜は商業港として古い歴史を持つ為、港湾業務に従事する地元密着の業者が多数存在します。その為、常に問題になるのは、IR誘致そのものより「どこに建てるか」という問題です。大都市である横浜に残っている空き地はありませんから、既に土地を占有している業者に立ち退きをしてもらった上で開発を進める事になります。

既に林文子市長が選出される市長選の時点で、IR誘致にともなう開発予定地の選定は争点の一つになっていて、この問題を白紙封印して選挙戦を戦った経緯があります。その後地元の有力者である藤木氏が強く開発予定地とされている山下ふ頭倉庫群へのIR誘致に反対していた為、封印されたままになっていました。

ここへきて急展開でIR誘致へ舵を切った原因は、誘致選定の期限が迫ってきている事と、地元に選挙基盤を持つ菅官房長官の意向が働いたのではないかと噂されています。通常なら地元選出の政府要職者のお膝元ですから、スンナリと決まりそうですが、藤木氏は菅官房長官にとっても選挙で担いでもらった恩人と言われていて、問題が複雑化しています。

横浜のドン(ハマのドン)藤木氏がカジノ誘致に反対する理由

山下ふ頭で長年に渡って事業を展開してきた湾岸の倉庫・事業所の立ち退きを前提にした計画である事が最大の問題となっています。

開発予定地が策定されるまでは、藤木氏も大筋においてIR推進には賛成の立場でした。IR事業は顧客に対して最大限に利便性を図るのが重要で、どこに建てても良いわけではなく、開発地については別の場所では他所の候補地に取られる可能性が高くなります。

選挙の時に棚上げにしていた問題を、急に推進し始めた事を、藤木氏は「裏切り行為」と非難していて、地場産業の継続と労働環境の維持の為に「移転に応じるわけにはいかない」という立場を明確にしています。また、通常ならば大きな援護射撃になる菅官房長官の存在も、選挙において助力を得た恩人である為、藤木氏の意向を無視する事は難しいとも言われています。

まとめ

横浜の歴史そのものとも言える港湾事業を支えてきた地元の荷役業者からすると、山下ふ頭は聖地なのだそうです。

その歴史は160年に及びます。そのうち藤木氏の事業だけでも、120年の歴史があります。新しい時代の波が押し寄せてきた時、歴史と開発というのは、常に問題の争点になります。

地域住民の反対が大きければ、結局はIR推進の候補地から外れるでしょうし、双方が妥協点を見つけて、建設的な方向でまとまってくれるのが一番ですが、どうも背後の事情を考えるに難しい気がします。

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